「人を捜してるんですけど」
 声をかけながら近づくと、談笑していた男たちが口をつぐんで怪訝そうな視線を向けてきた。
「あ、……えーっと、姫……じゃない、高嶺の花っていうか、偉い人の子どもっていうか、すごい人の嫁さんっていうか、とにかく特別な女性を捜してるんです! 心当たりはありませんか!?」
 しまった、いきなりお姫様知りませんかとか訊くのは妙だ。 だいおうさま が認知されてるのかもよくわからない状況だし、お姫様の居場所をこんなところで質問してあっさりわかったら苦労しないよなあ。
「……嫁さん」
 ん? なんか変な言葉に反応してるぞ? 考え込んでしまった男たちにちょっと焦る。まずい、説明が悪かったんだ。
「あ、その、嫁さんっていうのはですね」
「あれじゃないか? 細身で」
「ああ、長髪の?」
「そうそう、儚げな感じ」
 ……なぜ容姿を羅列してくださるんですか。確かに訊きかた悪かったけど。ま、まあいいや。お姫様のデータは「細身、長髪、儚げ」か。
「ありがとうございます」
 ちょっと進展した気がして礼を言って彼らと別れる。
「しまった、もっと訊いておけばよかった」
 しかし、わざわざ戻って質問するのもなあ。階下からかすかに聞こえてきた談笑に溜息をついて歩き出す。さて、どうしよう。

外へ出る
校舎内を歩く