細身、長髪、儚げというのがお姫様の容姿データだ。
 思わず一歩足を踏み出して目を見張った。少し離れた場所に、長髪という項目以外は当てはまってい人物がいる。しかも可憐。申し分なく、可憐。
 その横顔はどう見ても水羽だが、もうこの際、彼がお姫様でいいじゃないか。違和感ないし。
「姫! 助けに参りました!!」
 廊下を歩いていた水羽に意気揚々と声をかけると、一瞬だけきょとんとした彼はすぐに表情を険しくした。
「姫! 疲れたんで帰りましょう!」
 さっき緊張しすぎたせいか、あっという間に体力の限界に達してしまっていた。こんな所に長居は無用、目的を達成してさっさと退散するに限る。
「姫ー!」
 連呼したらみぞおちに姫の拳がめり込みました。ごふっと、絵に描いたようなザコキャラの声が口から漏れます。
 姫はわりと血の気が多かったようです。
「消えろ。それとも消してほしい?」
 うわあ、素敵な二択。しかし、ここまできて手ぶらで帰っては格好悪い。
「いえ、姫とどこまでもご一緒に!!」
 ……。
 失言、というものを自覚したのは、たぶんこれがはじめてだろう。
 姫、姫。
 すみません、お姫様。
 SMも悪くありません。

=『姫発見・自己暗示エンド』了=


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