男なら戦って勇ましく散るべし! さあこい野郎ども――!!
 と、立ち向かってはみたものの、三分で完敗です。しまった、自分が弱いことを忘れていた。これって戦った意味あるのか。
「なんだ、この雑魚」
 けっと舌打ちして男たちが去っていく。
 いや君たち、明らかに弱そうな相手に手加減無しって大人げないだろ。もうちょっと人生ってものに優しさをプラスしてはいかがなんだ。
 しかし、痛いなあ。これ、自力で保健室まで行かなきゃ駄目なのかな。
「立てない」
 うーんと声をあげると、靴音が廊下に響く。え!? まだ足りないの!? 人間サンドバックってのは聞いたことがあるが、それは実体験したいとは思わないぞ!
 そうは思ってみたものの、体が動かないのでは逃げようがない。そのままうんうんうなっていると、ぬっと顔を覗き込まれた。
「あ、国一だ」
 単刀直入、相手の名前が口から滑り出す。彼は救急箱を小脇に抱え、あたりを見渡してから眉をひそめた。
「助けてほしいなら、治療してやってもいい」
 ……。
 ……はい?
「え? いまなんて?」
「だから、助けてほしいなら治療してやってもいい」
 いや、だってほら、救急箱持って、やる気満々なのになんでそんな回りくどい質問を?
「いらないなら帰る」
「ま、待って待って! ぜひお願いします!!」
 大声を出すとさすがに傷に響く。しかし、ちょっとほっとしたような表情をする国一に目が離せなかった。
 これがあれか――! これがかの有名なツンデレ様か――っ!!
 ちなみに彼はあまり器用なタイプではなく、治療は軽くSMチックでした。親切にもその後、救急車を呼んでくれて付き添いまでしてくれました。
 とりあえず毎日病院に見舞いに来てくれるので、退院のその日まで大人しく寝ていようと思います。

=『惨敗エンド』了=


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