掃除道具入れから出ると、近くで男たちの怒鳴り合う声が聞こえた。
 ぎゃああ――!! だめだ、敵が多すぎる!
 掃除道具入れにもう一回戻ろうとしたが、すぐに見つかる可能性があることに気づいてぐっとこらえた。このままじゃ体がもたないから、ひとまずどこか、もっと安全な場所に移動しよう。対策練らなきゃ死ぬ。たぶん死ぬ。
 どこが一番安全かな。あ、体育館裏なんてどうだろう。
 よし、と思い立って歩き出す。慎重に廊下を渡り、階段に人がいないことを確認して階下に移ってまた廊下を進み、非常口から外に出る。
 いやだなぁ、野蛮人の多い学校って。こんなところにお姫様が本当にいるのか?
 自分の行動を棚に上げて考え込み、
「うーん、いないかも?」
 いないほうがいいなと思いながら体育館裏に行く。するとそこには惰眠をむさぼる華鬼の姿があった。
 せ、先生ーーーー!!
 この人、爆睡してます! っていうかもう縛睡の域じゃないか?
 近づいて遠巻きに眺めたが起きる気配がない。ちょっと悪戯してみようかとも思ったが、起きると怖いのでそれはやめておこう。
「……華鬼がここにいるということは、ここが一番安全?」
 少なくとも、誰か来たらこの人ぶつけておけば逃げられるじゃないか!
 非情じゃない、これは生きるための知恵というものだ。そうと決まればここに陣取り、ひとり作戦会議としゃれ込もうじゃないか。
 どっかりと腰をすえ、腕を組む。
 うーん、しかし、いい天気だなぁ。木々のざわめき、小鳥のさえずり、あたたかな日差しに、隣にゃ爆睡する男ときたもんだ。
 ……本当、いい天気だ。
 いい天気。
 ああ、なんか、眠くなってきたな。
 いやいや、寝てちゃだめだろ。
 お姫様を救出するという任務が。
 あー。
 ……。
 おやすみなさい。

=『ちょこっと休憩エンド』了=


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