どうしようかなぁ、この町って美術館と警察署が感心するくらい多いんだけど、 だいおうさま がいそうな場所ってよくわからない。ましてやお姫様の監禁場所なんて想像もつかない。
うーんとうなっていると、
「だからこっちだと言っているでしょう!」
「僕はこっちがいいの!」
「アルのへそ曲がり!」
「キャロットのわからず屋!」
つんとそっぽを向き合おう、ピンクのラメラメ少年と、深紅のド派手ドレスの少女が視界に入ってきた。
うわーラメ。ピンクのラメ。あれはアル刑事じゃないか。全身ピンク一色なのは別にいいけど……いや、全然よくないか。見つめてると目が痛くなってくる。しかも隣にいるキャロットはヘッドドレスから靴まで深紅一色だから、もうコントラストがメチャクチャでよけいに目が痛い。
それでも騒いでいる原因が知りたくて見ていると、二人はそれぞれの手に、ピンクのラメドレスと深紅のスーツを持っていることに気づいた。
「クリスにはこれ! ピンクのドレスだろ。ササラ探偵と一緒に着ればみんなの視線は釘付け間違いなし!」
「ササラ探偵には深紅のスーツですわ! 情熱の赤! クリスもピンクより赤が似合うんですから、プレゼントは深紅のスーツとドレスですわ!!」
……。
……。
うわー。すっごいくだらない上に迷惑なことで言い合ってるなー。あんなのプレゼントされてペアで着たら、立派に変な人だろ。見ろ見ろ、待ちゆく人々の視線! 明らかにひいてるじゃないか。
「そうですわ、誰かに決めていただきましょう。そう、そこのあなた!」
キャロットの指がまっすぐこちらに向く。途端にみんながさっと視線を逸らして足早に去っていった。
「そう、あなた!」
残ったのは、……ひとり、なわけで。
「あなたですわっ」
こうして見事スケープゴートに選ばれ、お姫様救出の前にプレゼントを選ぶという大任を押し付けられた。
「いいですわね、心のままに! 心のままに選ぶのですわよ! この深紅のドレスとスーツが最高ですわよね!」
ああはいはい、タンゴ踊るときには映えそうですネー。
「このピンクラメ! 見事でしょう! みんなの視線釘付け!」
ああはいはい、社交界の華になれそうですネー。
でもどっちもいらねーよ。
と、心の中で思っても、小心者は口にできません。目の前で繰り広げられるピンクと赤の競演に、そろそろ頭痛がしてきました。
お姫様、どうか助けに来てください。このままじゃ目と脳がイっちゃいそうです。
=『派手コンビエンド』了=