決まりは破るためにある! 当然だ。世の摂理というものだ。だいたい、こんなお約束な言葉を守るやつなんていまどき存在しないだろう。
 それに、こういう時点で怪しい。
「これは救出作戦である」
 自己暗示をかけて、いざ警察署に侵入――!!
 裏門をこじ開けて人がいないことを確認し、足早に建物の影に移動。そこでもう一度辺りを確認し、ドアまで小走りする。息を殺して慎重にドアノブをひねると、残念なことに鍵がかかっていた。
 なんだ、つまらん。せっかく警察署内に侵入できると思ったのに。
 ……いやいや、姫を助ける手がかりを発見できるかと思ったのに、だ。
 仕方なくきょろきょろあたりを見渡すと、ごく低い位置に窓が設置されている場所を発見した。ああ、あの高さなら入れるなと思って石を持ち、コントロールが悪いからあたらないだろうと考えてひょいと投げてみた。
 次の瞬間、激しい音に肩をすくめた。
 おおお、あたった! ガラスが木っ端微塵!
 っていうか、あたったのは狙ったガラスじゃなくてその三つ隣じゃないか。やっぱりコントロール悪いな、しかも運も悪い。
 忙しない足音が聞こえ、とっさに逃げようと踵を返すと、目の前には神経質そうな男、ケリー刑事が青筋を立てて仁王立ちしていた。
「不法侵入な上に器物破損ですか」
「え? いえ、誤解です」
「私の目の前で石を投げてガラスを割ったのに?」
 冷ややかに彼が笑むと、警棒片手に建物から警官が五人も駆け出してきた。絶体絶命というやつだ。
「言い訳は留置所でたっぷり聞かせてもらいます」
 抑揚のない口調が恐ろしい。ケリー刑事の一言で、警官たちは警棒をこちらに向けた。
 決まりごとはやっぱり守らなければ。あれはそもそも、守るために存在するんだから。
 その後、留置所でお友達が三人できた。

=『留置所エンド』了=


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