「もう動けないー」
「さっき休憩したばっかりだろ! いい加減にしろ」
「だってー」
「甘えた声出すな、気色悪い」
「ひ、ひどい!」
 んん? 森の奥から何やら声が……近づいてみると、駄々っ子と化した陸が木にしがみつき、恐ろしい形相の要がそれを引き剥がそうとしてる最中だった。
「だいたい、お前が勝手な行動するからだろ!」
「こっちが怪しいと思ったんだよ」
「怪しいのはお前の頭の中身だ」
 うわぁ、ひどいこと言ってるなぁ。これは近づかないほうがいいに違いない。とりあえず気づかなかったふりをしておこう。さーって、お姫様、お姫様ーっと。
 ……。
 ……。あれ?
 三十分ほど進んでから立ち止まって辺りを見渡し首をひねる。
 なんか、ここさっきも通らなかったっけ?
 あ、向こうに陸と要がいる。さっきと同じように陸が木にしがみつき、要がそれを引き剥がそうと奮起していた。やっぱり同じ道に戻ってきたんだ。
「もう動けないー」
「さっき休憩したばっかりだろ! いい加減にしろ」
「だってー」
「甘えた声出すな、気色悪い」
「ひ、ひどい!」
 んん? また同じ会話を繰り返してるような……。
 まさかね。気のせい気のせい。
 でもここに来たの、これで五回目なんだけどな。
 ……。
 気のせい、気のせい。

=『ラビリンスエンド』了=

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