お姫様はいないけど、魔将軍ならいる。最近、執事なんだかお手伝いさんなんだか微妙なラインで頑張ってる人が!
「ヴェルモンダール!!」
 武蔵たけくら家に居候中の魔王様の補佐役の名を呼ぶと、庭からホウキとちりとりを持ったヴェルモンダールがひょこりと顔をだした。わあ、そのひよこエプロン似合ってますねーって、魔将軍が呑気に庭掃除してていいのか。
「魔界は平和なんだなあ」
 あらためて口にすると、ヴェルモンダールは目をぱちくりさせた。
「ええ、今のところは平和ですね」
 のんびりとした返事が来る。なるほど、やっぱり平和なのか。まあだから彼も人間界に来てるわけなんだろうけど。……そうか、ダリアについてきて、仕方なく住み込んでるわけじゃ……ないよなあ。ホウキとちりとり持ってこんなに生き生きとしてるんだから、意外とこういうのが性に合うんだろう。
「ところで だいおうさま って知ってる?」
 訊ねてみると、ヴェルモンダールは首をかしげた。
「さて、聞いたことはありませんが。……その方が、なにか?」
「お姫様をさらったって聞いて捜してるんだけど見当がつかなくて」
「では、見つけたら血祭りにあげておきましょう」
「はい、よろしくお願いします」
 にこやかなヴェルモンダールにつられてにこやかに返し、にこやかに別れる。そしてその後、首をひねった。
「いま、血祭りって言わなかった?」
 ああきっと、魔界にはいろんな祭りがあるんだろうなー。そうかー血祭りかー。鮮やかな祭りなんだろうなー。
 その祭りは、たぶんあまり見たくない祭りに違いない。

=『渋系エンド』了=

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