大声で助けを呼んでいると、遠くから近づいてくる人影を発見した。
こんな森の中に本当に人がいるなんて!! やっぱ日頃のおこないがいいから神さまも見ててくれるんだなー。
「ここでーす!!」
手をぶんぶん振って呼びかけると相手も気づいたようで足早に近づいてきた。長髪、銀髪、紺碧の瞳――エディウスだ。……って、なんでバルトの王様がこんなところに供もつけずに単身でいるんだろう。
もしやまさか。
「迷ってるんですか」
「……そうか、仲間か」
質問するといきなり落胆して仲間扱いされた。ひどい話だ。きっとエディウスのほうがはるかに森に慣れているに違いないのに、勝手に期待されて失望されるなんて腑に落ちない。
しかし、一人より二人のほうが心強いのは確かだ。少なくとも、相手はこういう状況は初めてじゃないんだろうし……ここは一発、気合いを入れさせて出口を探させるに限る。
「お茶いかがっすか、お茶。拾いたてなんですけどね!」
言葉通り拾ったティーセットを見せると、彼は少しだけ奇妙な顔をした。
「大丈夫! 毒なんて入ってませんから! こういうイベントに落ちてるものってのは安全がセオリー!! ぐぐいっといきましょうや!」
すっかり商人のノリで声をかけ、お茶を淹れて困惑するエディウスに押しつける。彼は困った顔をしながらもそれを受け取り、一口飲んで表情を緩めた。よし。ひとまず及第点はクリアしたらしい。ついでにセットで落ちていたお菓子も披露してみた。これもなかなかの味で、同じく及第点だったようだ。
そうして一杯、二杯と飲んでいるうちにすっかり和気藹々になって世間話をして、うっかり本題を忘れてしまった。
森を出てバルト城に誘われ、立ち寄ることになって三日目の昼――風の噂で、お姫様が だいおうさま を剣技で打ち負かして女王になったと聞いた。
=『最強のお茶会エンド』了=